小枝のオブジェは、どこか身近な植物を連想させますが、実在の種を模写したものではありません。作家がふと心に浮かべた新芽や、冬に残された枝の記憶を頼りに、頭の中の植物を金属という異素材で“再発芽”させた、想像の結晶です。
また、この小枝たちは一枚の金属板から、始まりと終わりが必ず繋がるように切り出した「一筆切り」で制作しています。切断面が途切れず輪になる形は、ご縁が円となって続くように、迎え入れた方の幸せをそっと願う意匠でもあります。
華美ではありませんが、そばに置くとふと呼吸が深くなるような存在感があります。リビングに飾っても、食卓に添えても、空間に静かな物語を生み出す――そんな樫原ヒロの想像力と祈りが宿った作品を、どうぞお楽しみください。
植物標本
カトラリー作家 樫原ヒロが想像した、遠いどこかの星で育った植物たちを標本として留めた作品です。
その星の植物は、私たちが知る柔らかな茎や葉とは異なり、まるで金属がゆっくりと芽吹き、枝分かれし、形を成したかのような姿をしています。生命と無機質のあいだにある、不思議な存在感――まさに“植物”という言葉の輪郭が揺らぐ世界です。
作品には、現実の植物らしいフォルムが見え隠れしますが、実在の種を模写したものではありません。作者の中に芽生えた情景や記憶をもとに、ありえたかもしれない植物として生まれた形です。写実にも抽象にも寄りすぎないその姿は、鑑賞する人の想像が勝手に広がっていく余白を持ちます。
さらに中帯に記された「植物標本」の文字には、小さな仕掛けがあります。
通常「植」は“木+直”という構成ですが、ここではあえて"金+直”という独自の字形で表現されています。植物でありながら植物ではない存在、そして金属という素材に宿る“いのちの気配”――その矛盾を、文字そのものがそっと指し示しています。
作家紹介
樫原ヒロ
テーブルの可愛いと美味しいを支える 小さな脇役たちを作っています。
カトラリーを作り始めたきっかけは、料理好きの妻が素敵な器やカトラリーを集めていたこと。妻を喜ばせたい、素敵なティータイムを過ごして欲しいと思い作り始めました。
2020年から本格的に制作を始め、“育てるカトラリー”をコンセプトに、エイジングを楽しめる素材、真鍮や洋白を使ったスタイルを固めます。
現在ではカトラリーをキャンパスと捉え、自身が美しいと感じた情景や事柄をシンプルなデザインに込めた作風で新しい作品を生み出しています。
真鍮という素材の魅力
真鍮はアンティーク食器にも使われている素材です。
銅と亜鉛の合金で、通常は金色の美しい光沢をしています。
樫原ヒロの作品では、表面を焼くことで独特のマット感ある飴色に仕上げており、独特の陰影をお楽しみいただけます。
作品はひとつひとつ作家の手で作られています。
写真とお手元に届く作品には風合いや色、形、サイズの違いがあることがございますが、ぜひそれぞれの個性としてお愉しみください。
| サイズ |
A: 約 縦100mm × 横30mm × 高10mm(外箱: 縦190mm × 横65mm × 高30mm) B: 約 縦100mm × 横15mm × 高15mm(外箱: 縦190mm × 横65mm × 高30mm) C: 約 縦105mm × 横32mm × 高5mm(外箱: 縦190mm × 横65mm × 高30mm) D: 約 縦95mm × 横20mm × 高15mm(外箱: 縦190mm × 横65mm × 高30mm) |
| 重量 |
A: 約2.6g(外箱込み: 約50g) B: 約2.2g(外箱込み: 約50g) C: 約2.6g(外箱込み: 約50g) D: 約3.5g(外箱込み: 約52g) |
| 素材 | 真鍮(C2801) |
| 原産国 | 日本 |
| 注意点 |
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